やまね学校・特別編 ~ヤマネの森の植生調査・知ることは守るための第一歩~

 2014年10月25日(土)~26日(日)

 

今回のやまね学校は特別編。
特別編ではヤマネの住む森の事を知り、彼らの好む森づくりの為の調査を行う、そして、ヤマネだけでなく森の木々にも思いを寄せる、とても濃密な会になりました。

紅葉の素晴らしい小春日和の森に集まったのは大人7名に子ども1名。みんなヤマネの事をこよなく愛している素敵なメンバーが集いました。

◆1限目 お互い知り合う時間
 ゲームを交えながら自己紹介。50音順に並んでみれば半数が「あ行」で始まる名前だった事に驚き、家を出てから清里まで掛かった時間で並んでみれば、スタッフ以外はかなり長時間かけて集まってくれた事が分かりました。
さらに驚きは、参加者のヤマネ愛。熱い思いを聞いていると、あっという間に予定の時間を過ぎていました。最近存在を知り虜になった人、10年以上溺愛している人、20年以上前に写真を見てからずっと気になっていた人、中には数十年以上ヤマネを愛し続けてくれている方もいました。

◆2限目 ヤマネってどんな生き物?
 まずはヤマネを知る時間。やまねミュージアムの饗場先生からヤマネの特徴の話。
背中の線や尻尾の役割は?どんな生活をしているの?何を食べているの?どんな所で寝ているの?基本情報だけでなく可愛さや不思議さを教わりました。

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◆3限目 ヤマネの視点で森を歩いてみよう!
 つづいて実際ヤマネの住む森のガイド。巣にする樹や食料にする樹を見ながら、実際に使っていたハンモック巣の中から木の皮を出してみれば、その正体はすぐ近くにあったヤマブドウの皮でした!またその実が大好きな食糧だと教えて貰ったり、枝の裏にぶら下がり逆さまに動くヤマネの視点を鏡を使って疑似体験したりと、驚きと発見の連続でした。
 そして最後は研究員が実際に行っている調査の模擬体験。
ヤマネの事を知るために日夜研究に励んでいる研究員。彼らがどんな所で生活し、どの位動き回っているかを知るために『発信機』をつけて調査をしています。
今回は模擬体験なので、いつも調査に使っている『テレメーター』という機材で森に隠された『発信機』を探して調査体験をました。見慣れぬ機材に苦戦しながらも協力しあい、楽しみながら調査の難しさを体験しました。

◆4限目 森の先生のお話
 ここからは森を知る時間。講師は森の専門家で長年ヤマネの研究に協力してくれている小山先生。当然の事ですが森や木は動く事が出来ません。その為、大小様々な木々が太陽の光を求めそれぞれに工夫しながら、複雑に関係しあい育っていきます。
 では、ヤマネの暮らす森とはどんな所でしょうか?森を知る為には、まずどんな木が生えているかを知らないといけません。そこで翌日は実際に森の中でどんな木がどんなバランスで生えているかを調査することにしました。その上でヤマネの暮らす森と暮らさない森にはどんな違いがあるのかをみんなで考える事になりました。そのための調査の方法や機材の使い方も教えて貰いました。

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◆課外授業 夜の生き物を感じる時間
夜の森にナイトハイク。昼間歩いた森も夜になると全く雰囲気が違います。
寒い夜でしたが夜間のヤマネ調査の手法を聞いたり、満点の星の下で牧草地にいる動物の気配を求め目を凝らしたりしました。また、静まり返った森の中で耳を澄ましてみたり、一人になって全身で森を感じたりととても心が温かくなる心地の良い時間を過ごしました。

ナイトハイクの後は交流会。日中の疲れもなんのその。講師の小山先生を囲み、みなさん大好きなやまねや動物達の話題で熱く語り合いました。

<2日目>
◆5限目 ヤマネの森の植生を調査する
みごとな秋晴れ。絶好の調査日和の中、研究員が日頃から調査を行っている森へ。
今回の調査ではヤマネの生活と森の利用を踏まえて、地面から130㎝の高さまである木々を対象としました。それらの幹やツルの分布・太さ・高さ・種類を記録します。
 まずは今年の調査でヤマネが見つかった場所で4m×50mの範囲を調査しました。
初めて見るような調査機材が登場しましたが、参加者のみなさんは難なく使いこなし予定よりも広い範囲の調査が出来ました。

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 続いては少し移動をして、以前はやまねが利用していたが最近は利用が確認されていない場所でも調査を行いました。「さっきの場所とは雰囲気が違うね」「木が少ない気がする」。その違和感を見えるようにするための調査。慣れない薮の中を歩き回る調査で、さすがに疲れた様子の参加者さん達でしたが、結果を楽しみに作業を続けます。

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◆6限目 ヤマネにとって住みやすい森を考える時間
小山さんが午前中の調査結果を早くもまとめてくれました。図にしてみるとヤマネが最近見つかっていない森はヤマネが好まない木もが多く、木々の間隔も空いていました。それに対して、見つかっている森には、食糧にする木、巣材に使う木、朽木などがバランス良く分布していることが分かりました。

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「それではここまでを踏まえて、近くの森でヤマネが好きそうな場所を探してみましょう。」小山さんの一声で、みんなでヤマネの気持ちになって森の中を歩き廻り、好きな場所とその理由を発表しました。その結果広い森の中で4カ所に意見が集中。どの場所も先ほどの調査結果の反映されたヤマネの好みそうな場所でした。 

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2日間の調査体験の賜物か、ヤマネへの愛なのか、みんなが平気で薮の中に入って行く様子は印象的でした。

◆おわりの会
2日間をふり返り、一人一人の感想の発表。
自分の住む近くの森の木も調べて、ヤマネが住んでいるか確かめてみたい。
調査は地味な作業だったが、その地味な作業の積み重ねにより分かることが多いと知った。
ヤマネの好む森は自分達にとっても心地いい森だと分かった。
ヤマネの気持ちになって森の見方が変わった。
みんな口々に発見と驚きの多い会だった事を発表していました。
その後集合写真を撮り、また次回再会する事を約束して解散になりました。

楽しい時間は早いものであっというまの2日間、ヤマネとヤマネの住む森の事を考え語り合うとても濃厚で熱い2日間になったと思います。

(文責:古屋 真東)

※今回のプログラムは「地球環境基金」の助成金を賜って行われました。
※ヤマネの保護飼育に関しては、関係省庁の許可を得た上で行っています。

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