第3回 三社参りの信仰と伝統をたどる 

2014年10月26日(日) 9:30~12:00

 旧・清里村と呼ばれる「樫山地区」で、約280年前にも行われていたという「三社参り」。厳しい自然風土の中で米作りや畑作が盛んだったこの地域では、収穫の出来を大きく左右する気候の安定を毎日のように神に祈っていたそうです。その伝統に寄せた地域の方々の思いを辿って秋の紅葉の美しい里山を歩きました。 

8tekuteku10261.jpg  

 まず始めはどんぐりや栗がたくさん落ちている歩道を抜けながら「八ヶ岳権現社」に行きました。ここには「雨乞い」をお祈りする石の祠が祀ってあり、祠は「五幹の松」(ごかんのまつ)と名付けられた立派な松の巨樹の根元にあります。灌漑用水が発達する前、樫山地区では飲み水や農業用水を雨水に頼るしかなかったそうで、雨に恵まれるように祈ったそうです。 

今回は、樫山地区で生まれ育った「浅川虎太さん」をゲストにお迎えして、地域の農業の歴史や、歴史的な変化についてお聞きしました。「清里」と言うと今でこそ駅前がイメージされるが、元々は樫山地区こそ清里が始まったところ、という話に皆さん驚かれていました。 

 

 

8tekuteku10262.jpg
8tekuteku10263.jpg  

続いては、浅川さんが取り組まれている「ホタル水路」まで歩きました。用水路には透き通った水が豊かに流れています。環境が良いことからホタルの餌となるカワニナが多く生息する樫山では、6月下旬にホタル祭りが開催されています。大門川から水を引くために水路用のトンネルを掘った先人たちの苦労についても思いを馳せました。 

 

 

蕎麦畑の中に歩みを進めふと振り返ると、森の向こうに八ヶ岳の姿が見えました!なんという雄大な風景でしょう。八ヶ岳の手前に見えるのが「風切りの松」と呼ばれるもので、八ヶ岳からの冷たい風「八ヶ岳颪」(やつたがけおろし)を遮り、村の気温を安定させる先人の知恵が生み出した風景なのです。 

 

 

 

8tekuteku10264.jpg
8tekuteku10265.jpg  

歩いてまもなくすると「柏前神社」(かしわざき)に到着です。この神社には幾つかの祈りが込められていて、最も古いのは「火伏せの神」です。樫山は風水害には見舞われることがあまりなかったとのこと、災害といえば火事だったそうです。火の神様にあまり暴れないように…とお願いしたのでしょうか。その奥には、安産祈願の祠も立っています。 

そして、三社参りの二つ目「日吉神社」に到着です。ここは字のごとく「日光をたくさん頂けるよう」にと祈った神社です。また現在も、その年の豊作を占う「筒粥の神事」も行われていて、今年の占いの結果も見せて頂きました。2月の寒い時期に夜通し行われる神事の様子の苦労話なども伺いました。  8tekuteku10266.jpg
8tekuteku10267.jpg 日吉神社の大きな特徴は周囲の樹木の立派さにあります。文化財にも指定されている巨樹に触れて、皆さんパワーを頂いていました。神社の中はこの巨樹に守られていてか、ひんやりと透き通った空気に満ちているように感じました。 
三社参りの最後の「風の三郎社」に行くのは、今回は時間的に難しかったので最後に地図をお配りしました。宮沢賢治の執筆にも影響を与えたと言う説もあるこの場所にも皆さん関心が高いようでした。是非、行ってみてくださいね!  8tekuteku10268.jpg

樫山地区をてくてく歩きながら、地域の皆さんの暮らしや深い祈りに触れることができました。駅前だけでなく、清里の歴史は樫山で脈々と紡がれていたのだ…という感想が参加者の方から発せられていました。そして、清里の未来はどうしていこうか、私たちにかかっているね、先人の知恵を継いでいきながら新しいものも生み出していきたいね、と語り合うことができました。